鯱の門。城跡周辺は官公庁などが集まる佐賀の中心地。

　佐賀城の北側、堀端の松原神社では、鍋島直茂・勝茂父子、および龍造寺隆信とその子・孫の政家・高房らを祭る。明治初期まで佐賀藩の藩主だった鍋島氏は、元は龍造寺氏の家臣。
　龍造寺氏は豊後大友氏、薩摩島津氏と九州の覇権を争う戦国大名だった。隆信の時に最盛期を迎え、九州北部の大部分を支配した。そこで大きな功績を残したのが直茂。隆信の母と直茂の父が再婚したこともあり家中で高い地位にあった直茂は、元亀元年（1570年）の今川合戦で活躍し、知略と武勇を世に知らしめた。
　鍋島氏にとって転機となったのが、島津氏との戦いで隆信が戦死したこと。政家が隆信の跡を継ぐものの、実際に領国経営を担ったのも、豊臣秀吉から朝鮮出兵を命じられたのも直茂だった。慶長12年（1607年）に高房と政家が相次いで亡くなり、直茂の子・勝茂が龍造寺家の家督を継いだことで、佐賀鍋島藩が成立した。
　拠点としたのは、龍造寺氏の村中城を基に築いた佐賀城。現在の唐津市や鳥栖市などを除く佐賀県と、長崎県の一部を領する35万7036石の大大名として、廃藩置県まで11代続いた。
　佐賀城跡には鯱の門や続櫓が現存し、本丸御殿の一部が復元され「佐賀城本丸歴史館」として公開。松原神社周辺には佐賀藩10代直正と11代直大を祭神とする佐嘉神社や、武具や資料など鍋島家に関する展示を行う「徴古館」がある。

参考資料：佐賀県HP、他

直正が使用していたという「御座間」。