天守台から北側を望む。旧城下町は今もにぎわう。

　黒田氏は、京極宗満が近江国黒田（滋賀県長浜市）に住み黒田を称したのが始まりという。備前国福岡（岡山県瀬戸内市）や播磨国姫路（兵庫県）に移り、小寺氏に仕え姫路城を預かった。
　如水こと官兵衛孝高（よしたか）は、織田信長や豊臣秀吉の下、賤ヶ岳の戦いや九州征伐で活躍。その功績から天正15年（1587年）に豊前6郡を与えられ、中津（大分県）に新城を築き拠点とした。
　子の長政は、関ケ原の戦いで西軍の小早川秀秋を寝返らせるなど、大きな戦功をあげた。これにより、徳川家康より長政に与えられたのが、筑前一国52万3100石。
　慶長5年（1600年）、長政は名島城（福岡市東区）に入るが城下町を築くには適さないとした。そこで那珂川の西、福崎の地に新城を築き称した名が、祖先ゆかりの地にちなむ「福岡」。その後、沿岸部のエリアで、那珂川を挟み西側を武士の町「福岡」、東側を商人の町「博多」と呼ばれるようになる。那珂川には「枡形門」が設けられ、城下への出入りをチェックされていた。ただしその往来は、町人は自由だったが、武士は制限されていたという。
　舞鶴公園の北、上之橋を渡り鴻臚館跡を左に見て進むと、二の丸を経て本丸に至る。天守台は、旧城下町を見渡すことができる展望所。西側は黒田長政が福岡城の外堀とした、当時は博多湾の入り江だった大濠公園。東側は福岡随一の繁華街・天神、那珂川の先に中洲や博多駅などがある。

参考資料：福岡市史編集委員会『新修福岡市史』、他

天守閣が存在していれば5層の大きなものだったという。