くす
玖珠
~童話の中のような風景~
くす
玖珠
~童話の中のような風景~
玖珠川の土手から総合運動公園越しに見る伐株山。
玖珠町中心部では「プリン」のような形の山が目を引く。町のシンボル、伐株山である。この地を覆った阿蘇山の火砕流台地が浸食され、特徴的な山々が点在する現在の玖珠の姿がつくられた。急な崖で囲まれた山頂部が平らなテーブル状の地形を「メサ」、さらに浸食が進み伐株山のように小さくなったものを「ビュート」という。
この町に生まれた口演童話家の久留島武彦は、伐株山を次のように語っている。
「樟の大きな木が、昔々にあったのですが、その大きな枝が、ずんゝ拡がって蔭をつくりその為にお日さまがさゝないので稲も実らない。麦も出来ないといふことから、その木を伐ってしまつていまでは郡の名前だけに残つて居ることとなつたといふのです。そこで今玖珠郡には素敵な大きな断株のやうな山が御座います。それを国の人は断株山といつて居ます」
武彦は、江戸時代にこの地を治めた豊後森藩主・久留島氏の子孫。かつて藩邸があった三島公園には、「久留島武彦記念館」や文学碑が立ち、典型的なメサといわれる大岩扇山を東に仰ぐ。背後には、中世の角牟礼城跡が残るビュートの角埋山。
三島公園近くの本町通りでは、かぐや姫や一寸法師など、日本童話の主人公らの石像と出会える。武彦は、「弱きを助け強きをくじく、気は優しくて力持ちの桃太郎のような子どもたちに育つこと」を願っていたという。国道387号沿いの本町通り入り口では、桃太郎像が出迎えてくれる。
参考資料:大分県立先哲史料館『大分県先哲叢書 久留島武彦 資料集』、他
伐株山山頂から見渡す玖珠の町並み。
桃太郎像が立つ本町通り入り口。
アクセス:玖珠町総合運動公園(玖珠町山田)
モデルコース:玖珠町総合運動公園 → 伐株山山頂 → 三島公園
移動手段:クルマ