海底に深さ14メートル、幅400メートルの航路が通る。

　宣化元年（536年）、博多湾沿岸部に大和政権の地方機関である那津官家（なのつのみやけ）が置かれた。「那」は奴国に由来される名前で現在の博多、「那津」は博多湾の港のこと。湾口に当たる志賀島で西暦57年の金印が発見されたことから、古くより中国との交流があったとされる。
　『続日本紀』に「博多大津」とあるのが、「博多」の地名が現れた最初という。このころは遣唐使船が博多の港に出入りし、平安期から鎌倉期にかけての博多は平氏による対宋貿易の拠点となり、豊臣秀吉の時代には博多商人が朱印船貿易で繁栄した。江戸期の鎖国時代でも、「五ヶ浦廻船」による国内取引が活発に行われた。
　明治23年に長さ360メートルの桟橋が築かれ、明治32年に開港指定を受け、近代港湾としての発展が始まる。
　博多湾は北西部だけが玄界灘に開け、南岸から東岸にかけて港湾施設が立ち並ぶ。博多港は「箱崎ふ頭」をはじめ「中央ふ頭」「博多ふ頭」といった8つの埠頭などからなる。そのエリアは、福岡城の北側から東側の香椎地区まで続く。
　かつての「那津」は、一説に現在の那珂川河口の辺りにあった。その左岸の須崎ふ頭の住所は「那の津」。右岸の博多ふ頭に立つ博多ポートタワーの展望所からは博多港が一望にできる。眼下には入出港する船舶の姿が見え、ポートタワーそばのサンセットパークや、「ぴあトピア緑地」などで水辺の散歩も楽しめる。

参考資料：「博多港の歴史」福岡市HP、他

「ぴあトピア緑地」から見る博多ポートタワー。