大保原の戦いなどでの戦歴を持つ菊池武光の騎馬像。

　菊池神社は、菊池氏12代当主の武時と、その子の13代武重および15代武光を主祭神とする。3人は後醍醐天皇による鎌倉幕府の倒幕計画で、懐良（かねなが・かねよし）親王の命に応じて活躍した。
　武時は元弘3年・正慶2年（1333年）、幕府の出先機関の鎮西探題（福岡市）を襲撃するが、内部の裏切りにより討ち死に。建武政権の樹立後、楠木正成はそれを「忠厚もっとも第一」と評し、武重に肥後守の地位が与えられた。正平3年・貞和4年（1348年）には、懐良親王を菊池に迎え征西府を設置。そして、同14年・延文4年（1359年）の大保原の戦いで武光が奮闘し、九州を統一した。
　菊池神社から下った市民広場には、躍動感溢れる武光の騎馬像が立つ。御所通りの将軍木の大樹は、菊池神社の大祭で懐良親王に見立てられ、正面の菊池松囃子能場で能が奉納される。
　菊池氏は延久2年（1070年）に、大宰府の長官、藤原隆家の孫・則隆がこの地に下向し、菊池を名乗り始まったという。また、鞠智（きくち）城の防備などを行っていた肥後の豪族との説もある。天文元年（1532年）に24代武包が亡くなり、源平合戦や元寇などに名を刻んだ、450年間を超す菊池氏正統の歴史が途絶えた。
　将軍木の約2キロメートル南の深川の地は菊之池城が置かれた所。近くには則隆の墓所や菊池氏発祥の碑、地名の由来になった菊之池跡がある。

参考資料：『菊池市史』、阿蘇品保夫『改訂新版　菊池一族』新人物往来社、他

征西将軍の懐良親王が植えたというムクノキの将軍木。