沖合7キロメートルに及ぶという有明海の干潟。

　日本最大の干潟を持つ有明海は、水深が20メートル程度と非常に浅い。さらに南端部の出入り口が狭く、土砂が湾外に流出されにくい。そのため、干潟化が進みやすい。大小の河川により運び込まれる土砂は、干満差最大6メートルという潮汐作用により干潮時に沖合まで運ばれ、満潮時は海岸に打ち寄せられ堆積する。このことにより広大な干潟がつくられた。
　有明海に注ぐ複数の河川のうち幹川流路延長約143キロメートル、流域面積約2860平方キロメートルの筑後川からの土砂流入が特に多い。熊本の阿蘇地域に源流を発し、大量の火山灰が運ばれ続けていることが、有明海の干潟形成の大きな要因。
　このように干潟化が進みやがて陸地化する自然干拓に加え、人工干拓が始められたのは鎌倉時代で、本格化したのは江戸時代になってから。干拓はその後も続き、ＪＲ佐賀駅より北にあったという縄文時代のころの海岸線は、佐賀駅の10キロメートルほど南に移動している。
　筑後川流域の佐賀平野と筑後平野からなる筑紫平野は、自然と人の力により長い時間を経てつくられた。今もなお干潟と平野は成長を続けている。
　有明海の最奥部に当たる佐賀市・白石町・鹿島市・太良町からなる佐賀県沿岸部には、干潮時に広大な干潟が広がる。筑後川河口の西約10キロメートルの「東よか干潟」では、干潮時に堤防と干潟の間に遊歩道が延び、一面「泥」の風景が楽しめる。

参考資料：『佐賀市史』、他

佐賀市中心部から海岸まで佐賀平野の平坦な道が続く。