うんぜん
雲仙岳
~火山がもたらす恵みと災い~
うんぜん
雲仙岳
~火山がもたらす恵みと災い~
水無川の吉祥白天橋から見る平成新山。
「雲仙岳」は、普賢岳・国見岳・妙見岳など、島原半島中央部に集まる複数の火山の総称。430万年前ごろから海底火山の活動により火山島が拡大し、島原半島を形成したという。寛政4年(1792年)には、普賢岳の噴火や地震などの影響により眉山が大崩壊した。島原湾に流れ込んだ大量の土砂が大津波を引き起こし、対岸の熊本と合わせて約1万5000人の死者を出す被害が生じた。平成2年11月17日に始まった普賢岳による「平成噴火」では、9432回の火砕流と62回の土石流が発生している。
国道251号が通る水無川橋近くの「土石流被災家屋保存公園」では、平成噴火の土石流に埋もれたままの民家を展示。水無川の上流側にそびえる平成新山の中腹に火砕流や土石流の流路が見え、その右手には大崩壊の痕跡を残す眉山がある。
普賢岳の噴火は、半島西側に広がる橘湾の海底の地下からマグマが上昇して噴出したと考えられている。通常は火山ガスだけが上昇し、地下水などと混ざり温泉となって地上に湧き出す。
雲仙岳の絹笠山と矢岳の合間、江戸時代に湯治場が開かれた雲仙温泉に湯が湧く。ケンペルやシーボルトらにより海外に紹介され、明治時代に外国人の訪問者も増えリゾート地として開発された。
雲仙温泉の西側の海辺には小浜温泉もあり、島原市内では温泉だけでなく地下水も湧出する。山容が見せるダイナミックな光景も、雲仙岳のもたらす恵みだ。
参考資料:島原ジオパーク協議会「ユネスコ世界ジオパークの楽しみ方」、他
かつて「温泉公園」と表記された雲仙公園。
平成4年8月9日の土石流に埋没した民家。
アクセス:土石流被災家屋保存公園(南島原市深江町)または雲仙温泉(雲仙市小浜町)
紹介スポット:土石流被災家屋保存公園・雲仙温泉
移動手段:クルマ