豊かな地下水が湧く町
熊本県は地下水が豊富なことで知られています。環境省による昭和と平成の名水百選で選ばれた合計8カ所は、富山県と並び全国一の数の多さです。富山の地下水は、3000メートル級の山々からなる立山連峰などに降った雨や雪がもとになっています。水は山を下り、富山湾沿いの複合扇状地の扇頂部で大地に染み込み、海岸辺りの扇端部で湧き出します。それに対して熊本の場合、阿蘇山の噴火の際に生じた火砕流でつくられた地層による湧水が多いようです。「白川水源」「南阿蘇村湧水群」「池山水源」「菊池水源」は阿蘇カルデラ内やその周囲に、「轟水源」は宇土市、「六嘉湧水群・浮島」は嘉島町にあります。
熊本市内では、「水前寺江津湖湧水群」と「金峰山湧水群」のふたつが選ばれています。水前寺江津湖湧水群は、八景水谷公園(北区)と共に熊本平野の台地部と低地部の境目にあり、水前寺成趣園や江津湖などで地下水が湧出しています。金峰山湧水群は、金峰火山の火砕流が堆積した地層により、雨水などがろ過されて地下水を生成します。カルデラの内外に湧水が散在し、選定されているのは全部で20カ所です。
井芹川沿いの道を通る時、特に夏の暑い日に立ち寄るのが「鳴岩の湧水」です。手に水を取り3口ほど飲み、空のペットボトルに取水します。熊本市内には他にも地下水が湧出している所があります。思いがけず飲用できる湧水を見つけたときは、ちょっと得した気分です。