3つの宗教が集う山
JR熊本駅の西側、小高い山の頂に見える白い建物は、仏舎利塔です。「仏舎利」とは、お釈迦様の遺骨のことです。10粒の仏舎利がインドのネール元首相から妙法寺に贈られました。昭和29年、山頂から町を見守るように建てられた仏舎利塔には、そのうちの1粒が納められています。
熊本市の中心部や阿蘇山などを見渡すビュースポットでもある標高133メートルの花岡山山頂は、ちょっとユニークな場所です。仏舎利塔の裏手には、横浜バンドと札幌バンドと共に、日本キリスト教プロテスタント教会の源流のひとつとされる熊本バンドの「奉教之碑」が建てられています。「熊本バンド」とは、熊本洋学校のジェーンズからキリスト教の教えを受けた若者たちが、転校した同志社の宣教師に「熊本のグループ」という意味で呼ばれた名称です。ここはその結成地とされている所です。さらに西側、妙法寺の前を通り過ぎると、朱塗りの大鳥居があります。加藤清正の石の切り出しにまつわる、兄弟ギツネのエピソードが残る戸坂稲荷神社のものです。ここには小さな社に兄ギツネの清藤大明神が祭られています。弟ギツネは、熊本城の東側にある稲荷神社に祭られている緋衣(白髭)大明神です。いずれも清正によって付けられた名前だといわれています。
花岡山山頂は、「仏舎利塔」と「妙法寺」と「熊本バンド結成の地」そして巨大な「稲荷神社の大鳥居」がある、仏教とキリスト教と神道が集うスポットなのです。