ハーンと漱石の共通点
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンと夏目漱石には、いくつかの共通点があることで知られています。東京帝国大学英文科は、漱石が学び、ハーンが講師を務めた所です。ハーンの後任に就いたのは漱石でした。ハーンが講師になった早稲田大学は、漱石の出生地の近所です。ふたりとも新聞社に勤め、作家でもあり、墓はいずれも東京・豊島区の雑司ヶ谷霊園です。もちろん熊本の五高で英語を教えていたことも挙げられます。以前、私が市内で見つけた、ふたりの小さな共通点をご紹介します。
資料館になっている中央区の「夏目漱石内坪井旧居」の近くには、幕末の勤王の志士「宮部鼎蔵」の旧居跡を示す石碑が立っています。また、勝海舟や坂本龍馬らに影響を与えた「横井小楠」の出生地と、西南戦争で熊本隊の一員として吉次峠で奮闘した「佐々友房」の住居跡もあります。一方、熊本大学裏手の小峰墓地に佇むのが、ハーンが作品で描いた「鼻欠け地蔵」です。そのすぐ後ろに「宮部鼎蔵」の墓、80メートルほどの所には「佐々友房」の墓も置かれています。「小泉八雲熊本旧居」が立つ蓮政寺公園沿いの歩道脇には、「横井小楠」の住居跡を示す標柱が建てられています。ふたりのゆかりの場所の周囲に、共通の3人の足跡が残されているのです。
なお、ハーンと漱石の熊本滞在時に存命していたのは、濟々黌を創設した佐々だけでした。この3人の教育者に、接点があったかどうかは分かりませんが・・・・・・。