阿蘇山大噴火
金峰山や花岡山、半高山などの金峰山地の高所から熊本平野越しに阿蘇山などの山並みを見ていると、少々違和感を覚えます。阿蘇山の左右には山並みが続いていますが、手前は平地だということです。
過去10万年間の世界の火山史上、最大の噴火がインドネシアのトバ火山で起きました。それに次ぐのが約9万年前の阿蘇山での噴火です。平成5年2月には佐賀県上峰町で、その火砕流になぎ倒された直径1.5メートル、長さ22メートル、樹齢700年を超すとみられる大木が発見されました。現地を訪れると、壁のように東西に延びる背振山地へなだらかな傾斜が続いています。阿蘇山から直線距離で約80キロメートルのこの地まで流れてきた火砕流が、山並みに阻まれたことが想像されます。これは阿蘇山の40キロメートルほど西にある金峰山地でも同様です。金峰山地の東側、熊本城から北区植木町にかけて京町台地と植木台地が延びています。噴火による火砕流が堆積し、浸食されてできたという台地です。台地上に県道303号と国道3号が通り、東西に坪井川と井芹川が流れています。
阿蘇山では約27万年前から4回の大噴火が起きています。噴出物が積もった地層は、厚い所で100メートルを超すそうです。阿蘇山の西側に大量の火砕流が流れているにも関わらず平地だということは、大噴火以前の地表は今よりもかなり低かったのでしょう。溶岩層の下には、当時の人びとの暮らしの跡があるのかもしれません。