【案内編③】水前寺成趣園・江津湖
環境省による昭和と平成の「名水百選」で、熊本県からは全国最多となる合計8カ所が選ばれています。そのうち熊本市内には、「金峰山湧水群」と「水前寺江津湖湧水群」があります。いずれも火山による恩恵といえるものです。
路面電車の「水前寺公園」電停で下車して徒歩3分ほどの所に出水神社の参道があります。「水前寺」といえば、回遊式庭園で知られる熊本市を代表する観光スポットです。正式名称を「水前寺成趣園」といい、庭園は出水神社の境内に当たります。熊本細川藩初代藩主忠利、2代光尚、3代綱利と、長い年月を費やして築かれた庭園です。園内には、湧水池の周囲を中心とする所要時間約20分間の散策コースが設定されており、「古今伝授の間」は庭園の眺めが最も美しいとされる所です。園内の池に湧出する地下水は、その景観を潤すと園外に流れ出て加勢川となります。川の流れは、1キロメートルほど下流で河川膨張湖の江津湖を形成しています。阿蘇山の大噴火で大量の火砕流が流出し、現在の熊本市の地盤を形成しました。火砕流がつくった地層は隙間が多く、地下に取り込まれた雨水などをろ過するフィルターの役割を果たし、清らかな地下水を生成してくれています。
水の流れは水前寺成趣園のそばを流れる藻器堀(しょうけぼり)川から加勢川へと続きます。川沿いの道を、澄んだ水の流れと共に、江津湖の湖畔までのんびりと散歩するのもいいでしょう。